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2012年3月11日 (日)

「普通の生活」の欠片

 あの日から一年が経ちました。

「何かやらねば」とは思いながらも、結局、何もできないで過ごした一年だったように思います。毎日、ツイッターだの、フェイスブックだのに勤しんでいるのに、被災地に赴くわけでもなく、支援となるボランティア活動に参加するわけでもなく「普通の生活」を過ごしてきました。

 放送局という特殊な会社で働く身にとって、同僚が自分の担当する番組やイベントに、何らかの形で東日本大震災や原発事故と関連付けたテーマを設けているのに頭が下がりましたが、直接、そういった仕事に関わっていない身には、「私はこれをやりました」という具体的なシゴトがないので、一抹の疎外感、劣等感みたいなものを感じてもいました(これは阪神淡路大震災の時もそうだったのですが)。

 とはいえ、今もって震災の大きな爪痕に苦しんでいる被災地の皆さんからすれば、そんな些細なイジケ根性はどーでもええことです。僕には僕の「できること」があるはず。それを一つ見つけては実行し、一つ探しては心に留め置く。そういう毎日を続けていくことが大事なのかなと思います。

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 そんな中、愛用しているティンバーランドのスニーカーのリペア(修理)業者を探していて、昨夜、福島県南相馬市にあるお店がインターネットでも注文を受け付けていることを知りました。そして今日、お店に電話を入れて修理の見積もりをお願いしました。

 震災発生からちょうど一年にあたる日です。南相馬といえば福島第一原発からは直線距離で40kmと離れていない場所。さぞ、この一年は大変な思いをされたはずでしょうし、今日もきっと何らかの行事が予定されていたでしょうから、そんな日に仕事のお願いをするのは如何なものかと躊躇もしたのですが…。

 結局、見積もりをお願いしました。
 電話で少しお話して、踵のすり減ってしまった靴の写真をメールで送っただけですけど。

 でも、僕がそのお店に修理を依頼したのは、素直に「こりゃあ、いいお店だな」と思ったからです。ブーツ好きには有名なVIBRAM製の靴底を使って修理してくれたり、いろんな靴の修理具合やおおよその価格をホームページにきちんと載せていたりしたからです。けして、「南相馬の人たちだから」ではありません。ごくごく普通にいいお店を選んだだけのことです。

 そして、見積もりのメールを送ってから、ふと思ったのです。

 寄付やボランティアだけが被災地の支援じゃなくって、こうやって普通にひとつの仕事をお願いすることだってそれなりに意味があるんじゃないか。震災の前と同じように、普通に仕事を頼んで、普通に品物を受け取り、普通にお金を払う。そうやって「普通の生活」の欠片を被災地の人たちに贈ることだって、被災地への応援のひとつかもしれないなあ――そんな風に、思ったのです。まあ、ちょっと言い訳がましいですけど。

 いずれにせよ、絶望的な瓦礫の山を前に、かの地はいまだ前途多難です。そこで暮らす人たちを想って、お店からの返事を待つことにします。

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コメント

せっかくなので直接コメントさせていただきます。
考えすぎても駄目だし全く考えないのも罪悪感が伴う。
結局どうあったって同じ日本人、人間として思いを巡らしてしまうのが「人」なんだなと思います。
私も何かが出来ただなんて思えませんし何かが出来るとも思えない中、手に取ったものがプラスになるならと思うとごくごく自然に出来ることもあるんだなとしみじみ感じました。

投稿: 王様ロボ。 | 2012年3月11日 (日) 23:10

>王様ロボ。さま
「何をしてあげられるだろうか」という物言い自体、ちょっと、偉そうなところがあるんですよね(悪いことではないけれど)。自然に思いやるというのはすごく難しいですが、何もしない、無関心だけには陥らないようにしたいです。

投稿: コイッチ | 2012年4月 8日 (日) 18:44

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