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2011年3月28日 (月)

拍手だけでなく

Tohoku 甲子園球場に足を運んで大垣日大-東北戦を観戦してきました(写真は毎日.jpの記事より引用)。

 試合は7-0で大垣日大の快勝。東北高校には地震のため準備不足という側面もあったのかもしれませんが、ここはやはり大垣の走攻守にわたるソツのなさが際立つゲームだったと言えるでしょう。左サイドスローの葛西(かっさい)投手が繰り出す(たぶん)スライダーが三振の山を築き、コンパクトに振りぬく打線と隙あらば次を狙う走塁は、たとえ無得点であっても相手の守備陣に強烈なプレッシャーを与え続けました。

 しかし野球観戦の、ことに高校野球観戦の醍醐味は、こういったワンサイドゲームにあってなお尽きないから不思議です。「被災地を応援しよう」という感情も相まって来場したと思われる家族連れ、カップル、中高年の夫婦…いわば「にわか東北高校応援団」で、第一試合というのに三塁側内野席はほぼ満員(かくいう僕もその一人)。試合時間を通じて贈られた拍手の大半は東北高校ナインに向けて、被災地に向けてのものだったのではないでしょうか。「地震に負けるな」――そんな手作りのプラカードもたくさん見かけました。判官贔屓の極みですね。

 図らずも敵役を演じる羽目になってしまった大垣日大はさぞプレーしにくかったはずですが、球場全体が三塁側に傾くかと思うほどの声援の偏りをものともせず、十二分に実力を出し切った大垣ナインは実に立派でした。大味になりがちなワンサイドゲームになっても、最後まで大振りをせず、堅守を続ける姿は、ほんとうにクレバーな野球をするチームという印象を受けました。彼らにも大きな拍手を。普段の試合とはまったく違った雰囲気でしたけれど、温かさと真剣さの同居した好ゲームでした。

 ところで。

 今大会、各校は音楽による応援を自粛しているのですが、場内では売り子さんたちが声を張り上げてビールやおつまみは普通に売ってるんですね。バックスクリーンのビジョンには甲子園球場歴史館のCMは流れる(もちろん音楽つきで)。試合の途中には大会テーマ曲がスピーカーから流れて各チームからの被災地に向けての応援メッセージが内野席上段の電光掲示板に掲載されるんです。

 でも応援のマーチングはないんです。これにはちょっと違和感を覚えました。「テレビもCM自粛、応援も音楽自粛。なのに場内では、ビール売って、音楽つきのCM流れる。いいのか。不謹慎じゃないのか」って?いえいえ、違います。

 逆です。むしろ逆のことを考えたんです。

 売り子の声も、甲子園球場の歴史博物館も、全部、センバツの雰囲気。甲子園の風物詩。開催すると決めたからには中途半端に自粛などしなくても良かったんじゃないのかな。震災を潜り抜けて、色々な事情に都合をつけて、遥かみちのくからやってきた東北高校の選手たちに、応援団の人たちに、めいっぱい『甲子園の雰囲気』を味わって帰ってほしかったなあ。こんなもんじゃないのになあ、甲子園って。応援団の太鼓が場内にこだまするあの雰囲気。売り子の声がかき消され、外野の芝生が浮き立つかのような得点機の興奮。あの中で、プレーと応援をさせてあげたかったです。

 それに、音楽があれば、東北からやってきた応援団ともっと上手に一つになれたんじゃないかなあ。対戦相手の応援団からのエールも、音楽を通じて届けられた可能性もあったんじゃないかなあ。音楽で、手拍子で、僕らはもっと、応援することが出来たんじゃなかったのかなあ。力いっぱいラッパを吹き、声を枯らして応援する。チームを、そして被災地を。そういう解釈で良かったんじゃないのかなあ。

 東北高校ナインとその応援団の皆さん、お疲れ様でした。
 ふるさとに帰っても甲子園のことを忘れないでください。
 そして私たちも、災害に苦しむ人たちの存在を忘れないようにしなくては。

 がんばりましょう、日本。

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