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2009年11月23日 (月)

クロス・トレーニングの功

 去年の秋から健康促進にと自転車に乗り始めたことはこのブログにも何度か書いたが、実は8月の末から簡単な筋力トレーニングも始めた。

 筋トレといっても、二十数年前のように競技選手としての体力増強のためのタフなメニューではない。ゆっくりとストレッチをして体をほぐし、腹筋、背筋、肩、腕、太ももの前後、それぞれの部位を鍛えるために、6つのマシンを、ゆっくりと13回ずつ、2セット行う。そのあとはまた軽くストレッチをやっておしまい。いたってライトでシンプルなトレーニング・メニュー。3ヵ月間トレーニングを続けてそれなりに体も締まってきた。腹筋だけはまだちょっと締まり足りない感じがするけど。それだけ弛みやすい部位ってことなんだろう。

 自転車と筋力トレを交互にこなすようになって初めて感じたことが、「自転車とはまったく対照的な運動を試みることで、自転車に役に立つことがいろいろと見つかる」ということだった。

 自転車に乗っているだけでは、どこの筋肉を使っているとか、どこの筋力が弱いだとか、あまりよく判らなかった。他ならぬ自分の体を使っているのだから、何となくこのへんが疲れるとか、ここに力が入ってるなというのはもちろん判るのだが、具体的に「ああ、ここだな」という感覚がなかったのだ。たとえば、「脚を引き上げるときには、意外と側筋や腹筋まで使ってるんだな」とか、「スピードを上げて前傾姿勢をとったときに、腕力に余裕があれば姿勢をキープするのが随分と楽なんだな」とか、そういうようなこと。筋トレをすることで体の動きに対する意識が感覚として高まってるんだろう。あそこをこういう風に工夫すれば、こうなるんだという具体的な知恵がついたように思う。


 そこでふと、工学部に籍を置いていた頃のことを思い出した。

「理学部はリクツが勝負。理論でものごとを考える。工学部はそれだけじゃだめ。具体的な数値、ノウハウ、知恵を示さなきゃいけない。『人間は空を飛べるはず』と主張するだけでなく、『この数字の強度を持った羽を、こういう角度で取り付けて、この馬力のエンジンを積めば、空を飛べる』と、具体的な数値を示し、実際にやってみせることができなければダメだ。ロケットや飛行機のような大きくて、夢のあるモノだけじゃない、机を留めるネジ一本、ビス一本にまで具体的な数値が存在する。それを示してやるのが工学部の人間だ」

 永見鋼一先生から授業中に受けた言葉。とても印象深く憶えている。


 インストラクターの指導を仰げば、トレーニング理論は教えてくれるかもしれない。あるいは具体的に「こことそこの筋肉を鍛えれば、自転車にうまく乗れるようになる」と指摘も指導もしてくれるだろう。けれど、その知識は、そのテクニックは、ほんとうに身につくだろうか。

 自転車にうまく乗るためには、自転車だけでなくいろんな競技、運動、トレーニングにもチャレンジすること。あせらず、楽しく、リラックスして。そうやって得た、より多くの広い範囲の経験こそが、体の中に具体的なデータとなって積もっていく。その集積が、ほんとうの意味での知恵、ノウハウ、実力に繋がるんじゃないか。

 すでに鬼籍に入られた先生を偲びながら、そんなことを考えた。

 あの頃、そういうことにまで考えが及んでいれば、もうちょっとバスケットボールも上手になったかもしれないのだが。

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