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2009年1月10日 (土)

不良少年に憧れなおす

 あなたは60歳になってもロックンロールしてると思うか?
 もちろん。

 昨年暮れに見た、ローリングストーンズのライブ・ドキュメンタリー映画『シャイン・ア・ライト』(マーティン・スコセッシ監督)の中にあった昔のインタビューの1シーン。おそらくは30年以上も前の70年代の映像ではないか。我らが永遠のロックンロール・アイドル、ミック・ジャガーは、いとも簡単にあっさりとそう言い切ってしまったのだ。ベテランの駅員が改札口で定期券を改めるみたいなものだ。誰がどこまで行こうとしているか、そして実際どんなヤツがどこまで行けるのか、そんなのはほんのちょっと見るだけでこの私にはわかるんだよ――まるでそんな感じで。

 しびれちゃったのだ、このひとことに。

 冒頭から計算された映像の美しさと、ライブシーンの音質の良さに圧倒されてはいたのだけれど、、時折インサートされるインタビュー場面の一つとして、何十年も前に何気なく(そしておそらくは、ほんの少しの皮肉を込めて)尋ねられた挑発的な質問に、ミック・ジャガーは真摯に、シンプルに、きちんと答えていたんだという事実を映画が伝えてくれたときに、そこにあるひとつの信頼できる生き方を見たような気がした。

 今、僕は43歳。まもなく44歳になろうとしている。そんな僕に、十代や二十代の頃からずっと続けているものがあるだろうか。どこにでもいる40代前半の中年男に、何か一つでもいいから20年も30年も続けていることを見つけることはとても難しく、それはやっぱり僕だって例外ではない。コーヒーを飲みながら、ほんのちょっと考えてみたものの、あの頃と今も変わらず、追いかけ続けていたり、戦い続けていたり、創り続けていたりするものなんて、僕の手元には何一つなかったもの。

 すべては消えてしまったのだ――ろうか?

 いやいや、そうでもないと思う。二十歳の頃の自分を思い出すことはできるのだから。あの頃、自分がほんとうに大切にしていたことは何だろう。それぐらいなら、くたびれた脳みそにも思い出す力はあるはずだ。死んでしまった友達に誓ったことだとか、精一杯戦った末に地に塗れたときの敗北感だとか。汗だとか、涙だとか、血だとかを、多少なりとも流した覚えは、今だって忘れてしまったわけではないのだから。

 ただ、ちょっと色褪せてたのかもしれないなあ。

 映画を観たあと、ミックの格好良さを思い出すたびに何度も何度も反省した。ティーンエイジャーの頃から60になるまでロックンロールし続けることは僕にはとうてい出来そうにもない。けれど、ふとした拍子に『あの頃』を思い出して、狂ったように踊りだすことがある。そんな好々爺になら、僕にだってなれるかもしれない。そんな風に、反省した。

 ちなみに、ミックのライブ・パフォーマンスはとても60歳を超えているとは思えないほど素晴らしいものだった。実際に60になってもロックンロールしていること自体、ファンにとってはまたとない驚きであり、喜びでもある。

 僕だってちゃあんと今もロックンロールの感覚を持っているでしょう?
 そんな風に訊いたなら、はたしてミックは「もちろん!」と言ってくれるだろうか。にやりと笑ってロックンロールへの改札口を通してくれるだろうか。40を超えて不良少年に憧れなおす日々。何ともお恥ずかしい限りです。

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コメント

この映画、私も観ました!

素敵に歳を重ねるってこと
難しいですね。

しかし、あのライブ映像はスゴイですわ。
私が観にいった時、同じ列の5人で来ていた
若いサラリーマン達は、ライブ会場のように
手を叩いてノリノリでした(笑)

投稿: くっしー | 2009年1月11日 (日) 18:33

>くっしーさん

ライブ・ドキュメンタリーとしては
極上だと思いますです。
ノリノリでした(僕は1人だったので心の中で)。

投稿: コイッチ | 2009年1月22日 (木) 00:10

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