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2006年4月29日 (土)

角田光代「対岸の彼女」

気になっていた作家さんなので、ずいぶんと前に読み始めたのですが、途中で司馬遼太郎の大作「功名が辻」を読み始めてしまって止まってしまってました。先日、ようやく再び読み進み始め、無事、読み終えました。ちなみに「功名が辻」も無事読了。

対岸の彼女
対岸の彼女角田 光代

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主人公はお掃除屋さん稼業を引き受けるのですが、その掃除の描写の中にスポンジで汚れを擦っているとふっと軽くなる時があってすごく気持ちがいい、みたいなことが書かれています。もやもや感が吹っ切れた時のすぅーっと気分が晴れていく感じに似たその感覚の描写が、何故だか知らないけれども読んでる最中から気持ちに残りました。全然、小説の本筋とは違うところなんですけれどもね。

形式的にはうまくいってる生活の中で(それは例えば家庭だとか、仕事だとか、お金のやりくりだとか、健康状態だとか)、あるいはもっとはっきりと書いてしまえば表面的にはうまく行ってるように取り繕っているんだけれども内心ストレスがたまっている僕たちそれぞれの生活の中で、ごくたまーに、ふとしたきっかけで「ほんとうにうまくいったなあ」と思える出来事があります。

いつもは調整に手間取る仕事がとんとん拍子に進むとか、普段はなかなか休みが取れないのにちょっとした休みにいった小旅行がすごく心に残るとか。偶然なのか必然なのか判んないんだけれども、あらかじめ上手くいくと決まっていたかのように「ことが上手く運ぶ」時です。そうそうはないけどね。

そういう時の感覚は、ドロドロに汚れた台所の油汚れを雑巾で何度も何度も擦り取っていて、ふと抵抗がなくなって急に「きゅっきゅっ」と言う音を立ててツルツルに磨き上げられた時のあの手ごたえ、感触と同じような気がします。

エンディングでのストーリー展開はその手ごたえと同じような感触でしたね。終盤に掛けて加速するストーリー展開の中で(それが描ききれるのもすごいと思うけど)、最後にふっと気持ちが軽くなって明るくなる「きゅっきゅっ」って感じが描けるのはすごい筆力だなあと思いました。さらりとやってのけるあたりが、特に。

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